Ⅰ.2022年度事業方針
2021年度は、前年度に続き、新型コロナウィルス感染症に大きく左右された1年でした。国内の景気は、新型コロナウィルス感染症が拡大と収束を繰り返したことにより、政府の経済政策も強化と緩和を繰り返したこと、また、東京都の緊急事態宣言下で開催された東京オリンピック・バラリンピック競技大会は、その経済効果について期待されたが、残念ながら経済押上げ効果はマクロ経済全体でみれば確認できていないとの報告もあり、力強さを欠いた結果となりました。
また、国外においては、米中関係を主因とする海外経済の先行きの不透明さとともに、ロシアのウクライナへの軍事侵攻などの影響により、経済安全保障/エネルギー安全保障の確保の重要性がこれまでになく高まっています。
このような状況の中、様々な業界が影響を受けていますが、建設業界も例外ではありません。ポストコロナの時代、建設業界においても労働環境が大きく変わりつつありますが、2019年4月1日以降、働き方改革法案が適用され、年5日の休暇取得が義務化されるなど施行されています。さらに、2024年4月1日以降は、建設事業においても時間外労働の限度基準適用除外となるため、より一層の業務効率等について今後取り組む必要があります。
また、国土交通省が発表した『建設産業の現状と課題』によると、建設就業者はピークだった1997年以降減少傾向にあり、また現在では、55歳以上の高齢者が1/3以上を占め、高齢化も進んでいます。そして、その高齢労働者の方々は、今後10年間で大量離職がみこまれており、中長期的な建設業の担い手を確保する必要性に迫られています。一方、電気事業を取り巻く環境は、電力システム改革の進展等に伴い大きく変化しており、2020年4月には、送配電事業の一層の中立性を確保するため、電力各社の送配電部門の法的分離(沖縄電力㈱除く)が実施され、今年で3年目を迎えます。
2021年10月22日に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」では、関係する取り組みについて次のように整理されています。
- 脱炭素化(「2050年カーボンニュートラル」や2030年度の新たな温室効果ガス排出削減目標の実現に向けたエネルギー政策)
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エネルギー安定供給(気候変動対策を進めながら、日本のエネルギー需給構造が抱える課題の克服に向け、安全性の確保を大前提に安定供給の確保やエネルギーコストの低減に向けた取組)
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エネルギーコスト低減(系統制約の克服、調整力の確保等による電力システムの柔軟性向上、規制改革等の取組)
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関西電力送配電株式会社としては、2021年度に策定された『関西電力送配電グループ中期経営計画(2021-2025)』に基づき、以下の通り取り組まれています。
送配電領域においては、『業界トップレベルのコスト構造を実現するとともに、新たな託送料金制度のもと、社会の期待を上回る成果を上げることを目指す』
また、2022年度関西電力送配電 安全健康活動方針では、基本方針に『協力会社と一体となった安全活動の展開』を掲げ、実施事項として、 -
『双方向コミュニケーションによる「伝達」・「理解・納得」・「実践・確認」活動の実践と協力会社との丁寧な安全活動の推進』
『協力会社ニーズを踏まえた安全“行動”に繋がる作業環境の改善に向けた推進』
以上、当研究会を取り巻く事業環境を認識し、関西電力株式会社および関西電力送配電株式会社の取り組みを支援し、活動を推進して参ります。