発変電の未来の発展に寄与し、会員相互の福利増進並びに親睦を図る

発変電技術研究会 会長よりご挨拶

当会は、関西電力様の発電所や変電所で主に電気工事を請け負う会社を会員として、1961年7月1日に創立総会を開催し発足しました。以後、会員各社の技術力の向上と作業安全の確保、電力業界全体の発展に寄与することを目的として活動して参りました。

2021年7月1日に人であれば還暦に当たる創立60周年を迎えましたが、その活動は、会員各社のご協力により今なお変わることなく精力的に続いており、関西電力様が目指してこられた労働災害の防止と電気の安定供給に微力ながら貢献できたのではないかと自負しております。

当会発足からの60年を振り返ってみますと、時代の要請に合わせ発電所や変電所を取り巻く環境は様変わりしてきました。当会が発足した1961年は、その前年に池田内閣が所得倍増計画を表明し高度経済成長が始まった時期に当たり、好景気を背景に電力需要は増加、その需要増に対応できるよう発電所や変電所の新設ラッシュとなりました。会員各社は多量かつ大規模な電力設備を設置するため奔走しなければならなくなり、如何に効率的にスピーディに、かつ正確に仕事を完遂するか知恵を絞った時期でした。

1973年のオイルショックにより高度経済成長は終わりましたが、その後も年5%程度の安定成長を維持したため電力設備の新増設は続くことになりました。それまでの好景気の影響を受け地価や物価が高騰する中、電力会社は設備投資を抑制するために発電所や変電所の省スペース化、電力設備のコンパクト化を進めました。会員各社は狭隘な場所での作業を余儀なくされ、狭いスペースでも可能な作業方法の工夫や労働災害の防止に全力を傾けました。

1990年代初頭のバブル崩壊により低成長時代に突入、さすがに電力設備の新増設は少なくなりましたが、代わって、高度経済成長期に設置した電力設備が高経年化で劣化が目立つようになり、大規模な設備更新が会員各社の仕事の中心になりました。既設の電力設備を運用しながら部分的に設備を停止し取替えていく必要が生じ、工事形態は多様、複雑化しました。設備構成への深い知識が求められ、その知識をベースに、運用中の電力設備を誤って停止しないようヒューマンエラーの防止に細心の注意が求められました。

2000年頃から電力業界そのものも大きく変わり始めました。2000年3月には、国際的に遜色ない電気料金を目指し、電気の小売りが部分的に自由化されました。契約電力2000kW以上のお客さまが電力会社を選べるようになりました。その後、自由化範囲が段階的に拡大され、2016年4月1日、全面的に自由化され、一般のご家庭も電力会社を選べる時代となっています。電力事業への新規参入事業者(新電力)は増え続けており、現時点で700社を超えています。2020年4月1日には、新電力が送配電網を公平に利用できるよう既存の電力会社から送電・変電・配電を専門とする会社が法に基づき分離されました。近畿では、関西電力送配電株式会社が新たに誕生しています。

こうした規制緩和の下、電力会社は厳しい競争に晒され次々とコスト低減策を打ち出されており、その結果、発電所や変電所などの現場は日々その様相を変えているといっても過言ではありません。現場が変わりゆく中でも、現場施工を受け持つ会員各社は時に戸惑いながらも新たな現場の姿にいち早く対応し、必要とされる技術の継承と新技術の習得に努めて参りました。

当会発足から今日までを振り返ってみれば、関西電力様、関西電力送配電様の現場が時代と共に変わりゆく中、必要とされる技術力を常に模索し提供することで我々自身も成長できた60年であったように思います。現場は常に動く(変化する)、そのことを忘れず新たな時代にマッチした技術力を業界として提供できるよう今後も活動を継続して参ります。会員各社の皆さんには引き続きご協力をお願いすると共に、社会インフラである電気事業の一翼を担う私たちの仕事に興味をもたれる一般の方々や若い世代の皆さんの当業界への参画を心より期待します。

米沢 比呂志

 

 

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